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3階建設計のポイント

木造3階建設計のポイント、注意点


3階建ての場合、2階建てとは、建築基準法上の制限も異なります。

① 木造3階建は建築基準法第6条第1項の規定では2号物となります
確認申請書に構造計算書を添付することが義務づけられています。また、軒高9m又は最高高さ13mを超えると適判の対象となります。

② 3階建ては高さが高くなるため、高さ制限に注意が必要です
特に、道路幅員が狭い狭小敷地の場合は道路斜線がネックになる場合が多いのですが、最近では天空率による緩和が普及してきたため、天空率を利用することで道路斜線をクリアさせる物件が増えています。また、10mを超えると日影規制の対象となることがあります。

③ 居室の採光にも注意が必要です
1階の奥に部屋を設置したプランでは基準法上の採光がとれないことが多く、申請時には納戸として作図することもありますが、1軒の住宅で納戸が複数あることも不自然であるとして認めてくれない検査機関もありますので、1階だけでなく2階3階にも納戸がある場合はトップライトを設置するか、2室共通にするなどの工夫が必要です

④ 3階に非常用進入口が必要です
道路に面する壁面に非常用進入口が必要です。住宅の場合は代替進入口としてバルコニーに面して750×1200(実際は掃き出し)の窓を設けることが多いです。2面道路の場合はそれぞれの面で必要です。また、窓に雨戸を設置するのはNGとしている行政も多いので確認してください。

⑤ 排煙計算が必要です
2階建てでは採光と換気の計算だけで済ましていますが、3階建てでは排煙計算が必要なため、窓の配置や高さも計画的に設置することが必要です。
また、隣地境界との空き寸法が狭い窓は無効となる場合があります。大阪の場合、有効250mm以上(窓上部の軒先から境界線までの距離) 必要です。

⑥ 耐力壁は少し多めに
建物の両端には必ず耐力壁が必要です。本システムで利用しているプランを見ていただければわかりますが、1階の一部を車庫として利用する場合は注意が必要です。

⑦ 容積率にも注意
2階建てでは容積率を気にすることは少ないと思いますが、3階建てではオーバーする場合があります

⑧ 第1種低層住居専用地域では日影規制がかかります
3階建ては日影規制の対象になります。また、それ以上に厳しいのは北側斜線ですね、1低専の斜線は天空率を利用できますが、高度地区による斜線は天空率の対象外になる事が多いようです。北側に道路があれば簡単にクリアできることもあります。

⑨ 二級建築士でも設計できます
3階建ての設計は構造計算が必要なので一級建築士でないと設計できないと誤解されている人がいますが、住宅程度では問題ありません。

⑩ 工事費は割高?
同じ床面積の2階建てと比べて外壁は少し増えますが、屋根や基礎の面積が減るためほとんど変わりません。梁などの構造材も全て構造計算によって寸法を決めているため無駄に大きい材料を使うこともなく経済的です。構造計算をしていない2階建ては工務店や材木店の経験で寸法を決めているため無駄に大きい材料を使用していたり、不足したりしていることもあるのです。2階建てと同じ施工単価で建てている業者も多くあります。

⑪準耐火建築物
準防火地域等で3階建てを建てるには準耐火建築物としなければなりません。
一番木造に適している種別は「準耐火建築物イ-2 (イ準耐-2、45分準耐火)」ですね。
参考資料としてこの下に準耐火リスト(pdf)を掲載します。 ご利用ください(自己責任で)

尚、リストには表示していませんが、延焼の恐れのある部分の開口部は防火設備としなければなりません。また、換気扇には防火ダンパー等の対策もお忘れ無く。

⑫直通階段
3階建てになると2階へ上がる階段と、3階へ上がる階段のふたつの階段がありますが、これが連続している必要があります。特殊建築物ではないので、少し甘い判断がされているようですが、火災の際に逃げ場所がわかりにくいプランだとNGの場合があります。明確な基準があるわけではないので、不安な場合は事前に相談した方が良さそうです。


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