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工事監理のポイント

 検査機関の検査が合格したからと言って満足していてはいけません。検査員は意匠の審査を主に担当していて構造についてはあまり詳しくない場合があります。そういう方は耐力壁の配置と金物の種類だけチェックして「合格」なんて言うこともあります。
 設計者がしっかりとチェックしましょう。

①基礎の配筋は定着が大事
地中梁の主筋が2段になっている場合は2本を束ねるようにくっつけます。
3階建ての場合、縦筋はフック付にしてください。
鉄筋のかぶり厚は土に接する部分は6cmその他は4cmですね
 そして大切なのが定着です。木造の布基礎(地中梁)はRC造のように定着させる柱がありません。普段RC造の鉄筋ばかり組んでいる業者は柱がないので鉄筋の端を下向きか上向きに曲げて定着と思っている場合があります。そうではなく、横方向に曲げて直角に交わった布基礎に定着させるようにしてください。

②釘の種類は適切か? 
打った後ではわからない・・・  わかります。釘にはたくさんの種類があって間違うと大変です。強度が全く違うのです。

    <箇所>       <種類>     <頭の色>
   耐力壁の合板      N50         黒
   耐力壁のPB      GNF40        ---   (PBを耐力壁の面材として利用する場合のみ)
    床合板          N75        黄緑

 特に間違いやすいのは耐力壁にN50の代わりにNC50(黄又は金色)という内装用の細い釘を使用することです。これは耐力が半分程度なので抜く必要はありませんが、N50を追加で打つ必要があります。また、NC50に似たものでCN50(緑)と言うのがありますが、これは2×4用の太い釘なのでこらならN50の代わりになります。
 ややこしいので、壁は黒床は黄緑と覚えましょう
 また、釘の頭が合板にめり込み過ぎている場合があるのでこれも注意しましょう。

③構造材は図面通りか? 
 梁や柱の寸法はチェックしても樹種をチェックしないと意味がないのです。木材は樹種によって特徴があり、これぞ適材適所に配置しないといけません。例えば桧と松ではどちらが強いのでしょう?桧は高級木材として認識されており、総ヒノキの家は高級に思えます。しかし、桧は腐敗には非常に強いのですが、曲げ強度やめりこみ強度などは安い松に全く及びません。構造図では松になっているのに、「上等の桧に変えたよ・・・」では困ります。
 また、プレカット図のチェックを依頼されたら、構造伏図と比較して見落としがちなのは、継手の位置です。これも構造計算に影響するので変更したい時は構造設計者に確認しましょう。

④合床(ごうしょう)って知ってますか? 
 床の構造はスジカイと同じくらい大切です。1階の床は構造上あまり重要ではないので現場のやりやすい方法でかまいませんが、2階、3階の床は通常24mmの合板に四辺釘打ちでしなければなりません。これはバルコニーや下屋の下なども同じ構造とする事が多く、耐力壁の合板との取り合いに注意する必要があります。どちらの合板にも四辺釘打ちするので、先に床合板を貼り、そこに受け材を取り付けないと壁の合板の下部に釘が打てません。
 階段の最上段を納めるために梁を約100mmずらしたいと施工者から問い合わせがありますが、これは出来ないことが多いです。理由はその梁は耐力壁や合床の一部だからです。最上段の上がり框をフラットな材料を使用する等の工夫をしてください。
 また、2階に和室を設置する場合、梁を少し下げて床レベルをフラットにすることがありますが、梁の横面に受け材を取り付け、床合板の四辺とも釘が打てるように注意してください。

⑤梁の継ぎ手は見落としがちです 
図面に記入している金物が取り付けてあるか確認してください。

⑥スジカイの遊びは特に要注意 
 スジカイと柱や梁の間にすき間があると建物の揺れの原因になります。

⑦火打材は図面通りの位置にあるか
 小屋組の火打材も構造上大切ですが、梁の継ぎ手や金物があるため取り付け出来ない場合があります。この時は火打の高さを下げるか、金物の火打を取り付けてください。