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3階建ては津波にも強かった

 これは、考えてみれば当然の結果だと思いました。 私が考える理由は主に5つあります。

①築年数10年以内の新しい建物である
 平成10年に木造の構造設計と防火設計をまとめた青本が出版されてから建築された物が多いので、築30年を超える物も多い2階建てに比べて老築化した建物はありません。
②構造計算をしている
 3階建ては2階建てと違い、厳密に構造計算をしています。2階建ては申請時の特例を悪用して、壁量計算すら省略して建築された物もあります。
③津波の高さが2.5~3m
 津波の高さがちょうど1階部分の高さになっているのも大きく影響します。というのは、3階建ての1階は2階建ての1階より壁量が50%以上多く必要です。そこに水圧がかかるのですから差が出るのは当然です。
④地盤調査をしている
 3階建ては構造計算をする場合に地盤調査をしています。調査せずに建てられた2階建ては津波が来る前に地震で傾いていた恐れがあります。2階建てでも調査するようになったのは平成21年頃からです。
⑤重い
 3階建ては2階建てより約1.5倍の重量があります。重い方が流されにくいのは当然のことですね。

2階建てでも3階建てのように津波にも強い建物を建てるのであれば、しっかりとした構造計算が必要な「耐震等級3」にする事をオススメします。

<2011.10.04の報道は以下の通り>
 国土交通省が東日本大震災で津波による浸水を受けた建物の被害状況を調査した結果、 木造でも3階建て以上なら1、2階建てに比べて流出・全壊の割合が大幅に低かったことが4日、わかった。
  津波の高さによって割合は異なるが、最大で50倍以上の差がみられた。 3階建て以上の建物は近代的工法で建てられている比率が高いためとみられ、同省は「今後詳しく分析し、復興などに生かしたい」としている。
 調査は、青森から千葉までの6県62市町村の約23万棟を対象に実施。建物の構造と階数、浸水の高さ別に被害状況を分析した。
 木造1、2階建てとも、津波の高さが2・5~3メートルになると流出・全壊の割合が急上昇し、 1階建ては62・8%、2階建ては51・8%に達した。これに対し、3階建てはわずか1・2%で、50%を超えたのは8~10メートルだった。
 鉄筋コンクリートづくりの建物も同様で、津波の高さが6~8メートルの場合、 1、2階建ての流出・全壊割合はともに50%台後半だったのに対し、3階建て以上は約半分の28・6%にとどまったという。
 また、死者の詳しい住所が把握できた13市町で、居住地と津波の高さを分析した結果、 海岸が入り組み、津波が高くなるリアス部の方が死亡率は高くなる一方、同じ津波の高さでは平野部の方が死亡率が高い傾向がみられたという。
 避難できる高台などがないことが原因とみられる。